「心の保健体育」心の健康を保ち心を育てるための学び。(ヒトの仕組みに基づく学び)

足が痛かったら、まず動かさない、痛みが続けば医者に行きます。 心が痛かったらどうしてますか? 

その56  「パフォーマンスを上げる時間脳活用術」 いつ、脳を活用するかで成果はかわる

「パフォーマンスを上げる時間脳活用術」
いつ、脳を活用するかで成果はかわる
(心の保健体育その56)

 参考 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」ほか


 夕方疲れてくると考える力も落ちてきて、複雑なことを考えるのが難しくなります。
翌朝すっきりした頭で考えると、簡単に答えが出たりします。
夜書いた文章はまとまりがないことが多く、翌朝見直すと全面書き直しすることがよくあります。

 また、頭が疲れてくると感情の抑制がへたになり、ついつい感情的な言葉が出て、
コミュニケーションの問題を起こしやすくなったりもします。

 時間によって脳の力がどう変化するかの仕組みを知って、脳を賢くどの時間に使うかを
マネジメントすることを「時間脳活用術」と名づけて、ご紹介します。


1. 脳の処理能力は13時間が限界、7.5時間の良質な睡眠で回復する
2. 脳は睡眠中も働き続けています。(記憶の再編、アイディア出し)
3.  脳のエネルギー貯蓄は12時間、睡眠中も消費され、朝食抜きはガス欠状態
4.  パフォーマンスを上げるライフスタイル 

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 1. 脳の処理能力は13時間が限界、7.5時間の良質な睡眠で回復する

 ・正常な注意力は起きてから13時間ぐらいしか持ちません。その後は、
   酔っ払い運転並みの注意力しかないそうです。
   朝6時に起きた場合は、夜7時ぐらいに脳の処理能力ががた落ちになります。
   仕事もなかなかまとまりません、パフォーマンスを上げることは困難です。
    夜の運転が危険なのは、この理由も大きな要因です。

  ・脳が健康な状態に再生するには7.5時間程度の睡眠が必要です。
   「睡眠不足は、注意力や作業能率を低下させ、生産性を下げ、事故や
   ヒューマンエラーの危険性を高めます。自分では眠気による作業能率
   の低下に気が付かないこともあります。
    忙しい職場では、睡眠時間を削って働くこともあるかもしれませんが、
   それが続くと知らず知らずのうちに作業能率が低下して、さらに、
   産業事故などの危険性が増すことがあります。」
    (出典 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」)

   
2. 脳は睡眠中も働き続けています。(記憶の再編、アイディア出し)
   脳は睡眠中に体と同じように疲労回復するだけでなく、寝ている間も働き続けています。
  それが明日のために「①記憶を整理統合し再編する」こと、さらに「②問題解決のアイディア出し」です。

    脳は、体と同様に活動でたまった老廃物を排出します。
  脳には体のようにリンパ管がないので、老廃物のはいった液を脳の血管の外壁で
  流しています。頭蓋骨の中の限られたスペースを最大限生かすためです。

  ①記憶の再編 (学習と成長)
   今日体験した情報を過去の記憶と整理統合し、明日の予測や判断時時に混乱しない
  ように、「つじつまを合わせ」ています。今日の活動量が多く、特に目新しいことが
  多いと、この記憶の再編に時間がかかります。
   まさにこれは学習と成長です。これには多くの睡眠時間が必要です。
  よく寝る子は体も脳も育っているんです。

  ②.問題解決のアイディアだし (逆モデルシミュレーションで解決案を発見)
   私たちは、起きているときに予測(順モデルシミュレーション)し、
  睡眠中に 問題解決のアイディアだし(逆モデル趣味レーション)を行っています。

   ・私たちは起きている間は、通常は「予測(順モデルシミュレーション)」を
   やり続けています。今入ってくる情報から、記憶を使って次に起こることを
   予測します。その予測に従って素早い行動をしています。
    例えば、A前方の藪で物音がした、B過去の記憶を使って敵が隠れている
   かもしれないと予測し、C素早く離れます。これが「A→B→C」順モデル
   シミュレーションです。処理能力があまり速いとは言えない脳を使って、
   素早く動いて生き延びるためのもっとも基本的な予測機能です。

   ・私たちは睡眠中に、複雑な問題を解決するための手順を、逆順にいろいろ
   シミュレーションしてみる「逆モデルシミュレーション」を行い、
   問題解決のアイディアだしをしているんです。
    例えば、「目的Gを起こすには、その前にBを起こしてみて、そのためにはAを
   やってみればどうかなる、やっぱりDをやればいいのかな」などのシミュレーション
   をいろいろ試しています。解決策として「Aをやる→次にBやる→G目的に到達する」
   というアイディアを寝ている間に探し出します。
    そして、翌朝あなたが散歩しているときに、解決策はすっと降りてくるのです。

   ・起きているときに、難しい問題を解決しようと考えるためには、別室にこもったり、
   上を見上げたりして、入力情報を遮断しないと出来ません。
    予測(順モデルシミュレーション)とアイディア出し(逆モデルシミュレーション
   を同時に行うことはできないようです。

    難しい問題解決のアイディアは、眠る前に問題をいろいろ思い浮かべてから寝ると、
   睡眠中の脳が考えてくれるんです。この方法が、起きているときに頑張るよりはるかに効率的です。

  (今回はここまでです。)