「心の保健体育」心の健康を保ち心を育てるための学び。(ヒトの仕組みに基づく学び)

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その49 仕事や勉強に集中するしくみ「選択的注意機能」を高める方法

仕事や勉強に集中するしくみ「選択的注意機能」を高める方法

 参考  「BRAIN 一流の頭脳」 アンダース・ハンセン (精神科医



 私たちは、必要性があってスマホを手にしますが、目的外のものに気が散ってしまいがちです。
仕事をきちんとやり遂げるには、目の前のことに集中し、周囲の雑音にいちいち気を取られてはいけません。
そうならないためには「選択的注意機能」を高めることが必要です。


1 「選択的注意機能」とは
 
 選択的注意機能とは 必要なものに注意を向け、その他のものには注意を向けない無意識の機能です。

 例えば、あなたがカフェにいて本を読んでいるとしましょう。
あなたは周囲の人々の話し声で店内がざわついているのを感じ取ります。
ですが、そのざわめきは少しずつ遠のいて、自分のよんでいる本に集中できるようになります。

 しかし、脳には相変わらず、そのざわめきの音が入ってきています。
もし、誰かがあなたの名前を呼ぼうものなら、自発的に聞いていなかったのに、その声に反応して
聞こえてくる方向に注意を向けることができます。

 この反応は無意識に起こります。おびただしい数の情報を処理し、重要だとみなしたものだけを知らせて
注意を促すシステムが休むことなく脳内で無意識に動いています。これが「選択的注意」機能です


2 「選択的注意機能」にはドーパミンが必要 

 感覚中枢から伝えられた雑音のボリュームをさげ、目の前のことに集中するためには、「ドーパミン」が必要です。
ドーパミンが不足すると周囲の音に気を取られ、目の前のことに集中できなくなります。
(「ADHD:注意欠乏・多動症」の薬も、ドーパミンノルアドレナリンの機能低下を改善するものです)

 おいしい物を食べたり、社会と交流したり、運動や性行為などをしたりすると脳内の「側坐核」で ドーパミンの分泌量が増えます。
ドーパミンがたっぷり放出されるとポジティブな気分になり、その行動を繰り返したくなります。脳が、また同じことをしろと催促するのです。
その理由は単純で、進化の視点では、そういった行動が生存確率を上げ、生存して遺伝子を次の世代に残すことになるからです。
これを報酬系システム」といいます。

 この報酬系システムは、ただあなたを幸せな気分にするだけではなく、意識を集中させるためにも欠かせないシステムなんです。
側坐核は四六時中、休むことなく活動しています。今、あなたが行っていることは続ける価値があるかどうか判断しているんです。


3 集中力が高い脳を作る一つの方法は「運動」

  運動すると集中力をつかさどる脳の部位が活発に働きます。報酬系が働きドーパミンがでるからです。
では、なぜ運動でドーパミンでてがでるのでしょうか?

 私たちの祖先が、狩猟や安全な場所を探すときに走っていたためだと考えられています。
どちらも生延びるための行動であり、そのために脳が報酬を与えてくれています。
(これは脳が何万年もの間、変わっていないことを示す証拠の一つでもあります)

 運動ではなく、あなたがテレビを見ているとしましょう。
側坐核がその番組から十分に刺激を受けないと、ドーパミンがあまり分泌されません。
あなたの注意力は散漫になり、もっとドーパミンが放出されそうなあらゆるものに目がいってしまいます。
スマホを見たら何かいいことがあるかもしれないとおもってしまうんです。

 (ランナーズハイもこれと関係していそうです)
 

4 集中力を上げる運動の仕方

 身体に適度な負荷がかかれば、脳はドーパミンを多く放出します。
心拍数の目安は、40代であれば1分あたり130〜140回、50代であれば125回までは上げましょう。
運動は朝にしましょう、時間は20分から30分。少なくとも午前中に行えば、数時間は効果が続きます。


 運動を習慣化すれば、集中力が改善される効果が定着します。半年程度継続すれば、脳を変えることができます。
脳のMRI観察により、意識を集中して維持する機能をつかさどっている頭頂葉前頭葉大きくなる結果が出た実験もあります。
(ソファーに1日3時間以上座っていた人は、記憶力や注意力、思考の速度に関して惨憺たる結果が出た実験もあります。)


 皆さん 頑張って運動しましょう!